【2026年版】リハビリ職のAI活用17選|自主トレ・予後予測・リハゲームまで広がる可能性

医療AI活用ラボ

現場発 | リハビリ職 × AI

リハビリ職がAIを使うことで広がる17の可能性

「専門用語が多くてよくわからない」「本当に現場で使えるものだけ知りたい」——そんな声に応えるため、実際に使いにくいもの・説明がわかりにくいものは載せず、本当に実践できる17個だけを、むずかしい言葉を使わず、専門知識がない人が読んでもわかるように書きました。

01

この記事で解決できること

この記事を読み終える頃には、次の3つが分かります。

① AIで資料を作るとき、最初につまずく具体的なポイントと、その直し方

② 評価シート作りから、歩行分析・院内データ分析まで、本当に使えるAI活用の全体像(17アイデア)

③ 個人情報・医療安全を守りながら、AIを「たたき台づくりの道具」として使う具体的な線引き

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結論:AIは完成品を作らない

先に結論を書きます。AIに資料作成を頼んでも、一発で患者に渡せる完成品は出てきません。AIは「たたき台を速く作る道具」であり、最後に内容を整えるのは、いつも人間の仕事です。
これは弱点ではなく、最初から知っておくべき前提です。実際に編集部がAIで自主トレ表を作ってみたときも、まさにこの前提を体感することになりました。

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実際の使用場面:自主トレ表を作ろうとした夜

編集部の実体験

膝の変形性関節症で外来に通う患者さんに、自宅でできる運動を説明する資料が必要になった夜のことです。口頭説明だけでは忘れてしまう患者さんも多く、「目的・回数・注意点」がひと目でわかる紙を渡したいと考え、まずはChatGPTに自主トレ表のたたき台を頼んでみました。

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知らないと損:AIの初回出力は、だいたい「専門的すぎる」

最初の出力は、正直そのままでは使えないものでした。多くの人がここでつまずきます。実際にありがちな失敗は次の3パターンです。

  • 説明文が専門用語だらけで、患者向けの資料としては硬すぎる
  • 運動の回数や強度が「一般的な目安」のまま出てきて、そのまま渡すには負荷が強すぎる
  • 痛みが出たときの中止基準や、注意点が書かれていない

「AIに任せれば時短になる」と思っていたのに、結局チェックと修正に時間がかかる——これが、AI活用で多くの人が最初にぶつかる壁です。ただし、ここで諦める必要はありません。実はここが大事なポイントで、AIは一度の指示で終わらせず、対話しながら育てる前提で使うと、驚くほど使いやすくなります。

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修正プロンプトの実例と Before / After

最初の指示(甘かった例)

膝が痛い患者さん向けの自主トレ表を作って。

修正した指示

この説明は患者向けには専門的すぎます。以下の条件で作り直してください。
【対象】変形性膝関節症、屋内歩行は自立
【条件】
・専門用語を避け、80歳の方にも伝わる表現にする
・1回10分以内で終わる内容にする
・回数は「目安」であることを明記する
・痛み、腫れ、熱感がある場合は中止すると明記する
・最終的な内容は担当療法士が確認する前提で作成する
【出力形式】
表形式で、運動名・目的・回数・注意点をまとめる。

BEFORE

「大腿四頭筋セッティングを1日3セット、各セット10〜15回実施する」
専門用語が多く、負荷量も個別調整されていない一般論。中止基準の記載なし。

AFTER

「イスに座り、片足のひざをまっすぐ伸ばす運動。1回5〜10回を目安に。痛みが出たら中止し、担当の療法士に相談してください」
表現をやさしくし、回数は目安と明記、中止基準を追加。

ポイントは、「やさしくして」だけで終わらせず、対象・条件・出力形式まで具体的に指定すること。指示が具体的になるほど、修正の手間は減っていきます。この状態でも、あくまで「たたき台」であり、実際に渡す前には疾患の重症度や理解力に応じて担当療法士がもう一段調整しています。

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筆者の判断:AIの出力は「完成品」ではなく「下書き」

この経験から編集部が持っている判断基準はシンプルです。AIの出力は、あくまで下書き。疾患、禁忌、痛み、理解力、個別性を必ず専門職が確認してから使う。これは自主トレ表に限らず、これから紹介する17の活用アイデアすべてに共通する前提です。

  • 個人情報(氏名・生年月日・住所・病院IDなど)はAIに入力しない。匿名化してから使う
  • 個人情報の除去自体をAIにやらせない。匿名化は自分の手で先に行い、AIには「見落とし確認」など二次チェックの範囲で使う
  • 無料版のChatGPTClaudeなどは、入力内容が既定でモデル改善に利用される場合がある。設定でオプトアウトするか、施設が契約している法人向けプラン(データを学習に使わない設定のもの)を優先して使う
  • AIの出力をそのまま患者に渡さない。必ず専門職が内容を確認する
  • 疾患・禁忌・痛み・負荷量・理解力は、AIではなく専門職が最終判断する
  • 診断や治療方針の決定をAIに任せない
  • 最終確認は医師、PT、OT、STなど専門職が行う

ここからは、この前提を踏まえたうえで、AIの活用範囲を「今すぐ」「生活支援」「未来」の3段階に分けて、厳選した17個を紹介します。専門用語が出てくる場合は、できるだけかんたんな言葉で説明を添えています。


STAGE 1 / TODAY

第1章:まずはここから。今すぐ試せるAI活用

特別な準備をしなくても、ブラウザでAIサービスを開けば今日から試せる7個です。

1

評価シートのたたき台作成(原著スケールを土台に)

できること
SIAS、FMABBSなど、すでに世の中で使われている「評価のものさし」をもとに、AIが評価シートの下書きをPDFで作ってくれる。これだけでも十分実用に足りることが多い
使える場面
新しい評価用紙が必要だけど、一から作る時間がない場面
今すぐ試すなら
BBS(Berg Balance Scale)の原著の項目・採点基準に沿って、評価シートを表形式でPDF出力できるように作って」と頼む。今使っている評価用紙の写真がある場合は、その画像をアップロードして「これを参考にオリジナルの評価シートを作って」と頼むと、より自院に合った形になる
注意点
原著(元の論文・スケール)の著作権・使用条件を確認する。項目や採点基準がAIの思い込みで変わっていないか、必ず原著と照らし合わせる
実践5ステップ
使うツール:ChatGPTchatgpt.com)または Claudeclaude.ai

  1. chatgpt.com または claude.ai を開き、無料アカウントを作る(Googleアカウントで1分で登録可)
  2. BBS(Berg Balance Scale)の原著に沿って、評価シートを表形式でPDF出力できるように作って」のように、使いたい評価スケールの名前をはっきり書いて頼む
  3. 今使っている評価用紙の写真がある場合は、チャット画面に画像をそのままアップロードし「このシートを参考に、当院オリジナルの評価シートに作り替えて」と依頼する
  4. 出てきた項目・採点基準を、原著の論文や信頼できる資料と1つずつ照らし合わせて確認する
  5. 問題がなければPDFやWordとして保存し、部署のテンプレートとして共有フォルダに置く
2

サマリー文章の下書き・洗練(カルテ入力には使わない)

できること
カルテそのものへの入力には使わない。退院時サマリーや紹介状のもとになる文章を、氏名などを消した状態で、より読みやすい文章に整えてもらう
使える場面
サマリーの文章をもっと読みやすく整えたいが、時間が足りない場面
今すぐ試すなら
氏名・生年月日・住所など特定できる情報をすべて消してから、「この文章を、医療者が読みやすい文章に整えて」と依頼する
注意点
個人情報は絶対にAIへ入力しない。カルテへの直接入力・記録目的には使わない。事実関係が変わっていないか必ず読み直す
実践5ステップ
使うツール:ChatGPT または Claude

  1. サマリーのもとになるメモや下書きを用意する
  2. 氏名・生年月日・住所・入院日・病院IDなど、個人が特定できる情報をすべて手作業で消す(【匿名】などに置き換える)
  3. 匿名化した文章だけをチャットに貼り付け、「医療者が読みやすい、洗練された文章に整えて」と依頼する
  4. 出てきた文章を元の文章と見比べ、事実関係(症状・経過など)が変わっていないか必ず確認する
  5. 消していた個人情報は、AIを使わず自分の手で正式なサマリーに書き戻して仕上げる
3

患者説明のやさしい言い換え

できること
専門用語を含む説明文を、専門知識がない人にも伝わる言葉に変換する
使える場面
高齢の患者さんへの説明時間が短く、伝わりきらない場面
今すぐ試すなら
「専門用語を避け、80歳の方にも伝わる表現に」と指示する
注意点
やさしくした後で、医学的に大事なニュアンスが消えていないか読み直す
実践5ステップ
使うツール:ChatGPT または Claude

  1. 説明したい内容を専門用語のまま箇条書きでチャットに入力する
  2. 「専門用語を避け、80歳の方にも伝わる言葉に変換して」と指示を追加する
  3. 出力文を声に出して読み、患者の理解力に合っているか確認する
  4. 「もっと短く」「漢字を減らして」と追加指示し微調整する
  5. A4用紙に印刷し、次の診療で実際に渡してみる
4

自主トレ表の作成(デザインツールは使わない)

できること
運動名・回数・注意点を整理した表の下書き作成。Canvaのような専用デザインツールは不要。AIが作った表をそのままPDFにする、または画像として保存してPowerPointWordに貼るだけで十分
使える場面
自宅運動の説明資料を毎回一から作る時間がない場面
今すぐ試すなら
対象疾患・注意点を伝えて表形式で出してもらい、そのままPDFにする。さらにわかりやすくしたい場合は、自分自身がその運動をしている写真をスマホで撮り、表と組み合わせてPowerPointに貼る
注意点
負荷量・回数は目安。療法士が最終調整してから渡す。自分で撮影した写真を使う場合は、余計な物や人が映り込まないよう配慮する
実践5ステップ
使うツール:ChatGPT または ClaudePowerPointWord(スマホのカメラのみ、Canvaは不要)

  1. 対象疾患・注意点(痛みが出たら中止、など)をメモにまとめる
  2. 本記事の「修正した指示」の文例をコピーし、条件を患者用に書き換えてAIに依頼する
  3. 出力された表をそのままPDFとして保存する、またはコピーしてPowerPointWordに貼り付ける
  4. 実際にその運動をしている自分の写真をスマホで撮影する(動きの始まりと終わりの2枚があるとわかりやすい)
  5. 撮影した写真を表の横に貼り、回数・注意点の欄を患者の状態に合わせて手直しする
5

新人・実習生教育教材

できること
症例をもとにした練習問題や用語集の下書き作成
使える場面
新人指導の教材を毎年作り直す余裕がない部署
今すぐ試すなら
「架空症例で初学者向けSOAP記録練習問題を作って」と依頼する
注意点
架空症例であることを明記し、実在患者の情報を素材にしない
実践5ステップ
使うツール:ChatGPTClaudeGoogleフォーム

  1. 「架空の症例」と明記した上で想定疾患・年齢・重症度をチャットに入力する
  2. 「この架空症例で初学者向けSOAP記録練習問題を5問作って」と依頼する
  3. Wordにまとめ、「模範解答も作って」と追加依頼して作成する
  4. Googleフォームforms.google.com)に移し、選択式の小テストにする
  5. 新人に解いてもらい、フィードバックをもとに問題文を改訂する
6

家屋調査チェックリスト

できること
疾患・生活環境に応じた家屋調査の確認項目リスト作成
使える場面
訪問リハ前に確認項目を毎回考え直している場面
今すぐ試すなら
「片麻痺患者の在宅復帰を想定したチェックリストを作って」と依頼する
注意点
実際の家屋状況は個別性が高い。確認漏れを防ぐ補助として使う
実践5ステップ
使うツール:ChatGPTClaudeGoogleスプレッドシート

  1. 対象疾患・ADLレベルをチャットに伝える
  2. 「在宅復帰を想定した家屋調査の確認項目リストを作って」と依頼する
  3. Googleスプレッドシートに移し、チェックボックス(データの入力規則)を追加する
  4. スマホアプリで訪問時にその場でチェックできるようにする
  5. 訪問後、抜けていた項目を追記してリストを育てていく
7

福祉用具・装具の比較整理

できること
複数の福祉用具の特徴を比較表の形で整理する
使える場面
家族に用具の選択肢を説明する際、口頭だけでは伝わりにくい場面
今すぐ試すなら
用具の特徴を箇条書きで渡し「比較表に整理して」と依頼する
注意点
選定判断はAIに行わせず専門職が行う。製品情報は最新の公式情報で確認する
実践5ステップ
使うツール:ChatGPTClaudeExcelGoogleスプレッドシート

  1. 比較したい用具のメーカー公式サイトから特徴・価格帯をメモする
  2. 「比較表(縦軸:項目、横軸:製品名)に整理して」と依頼する
  3. Excelまたはスプレッドシートに転記し、色分けなど見やすく整形する
  4. 価格・耐荷重などは必ずメーカー公式サイトで最新情報を再確認する
  5. 家族説明の際にタブレットまたは印刷物で見せながら口頭説明する

STAGE 2 / DAILY LIFE

第2章:リハ室の外へ。日常生活を支えるAI活用

ADL・IADLを支援する視点でのAI活用です。「観察や説明を補助する道具」として使う視点が現実的です。

8

買い物・料理・掃除の課題化

できること
IADLの一場面を段階的な練習課題に落とし込む文章作成
使える場面
退院後の生活を見据えた作業療法プログラムを考える場面
今すぐ試すなら
「片手での調理動作を段階的に練習するステップ案」を依頼する
注意点
火気・刃物・転倒リスクの安全確認は必ず療法士が個別に行う
実践5ステップ
使うツール:ChatGPT または Claude

  1. 対象患者の身体状況(例:右片麻痺)を入力する
  2. 「片手での調理動作を段階的に練習するステップ案を5段階で」と依頼する
  3. 刃物・火気を使う工程だけ自分で安全確認を行う
  4. 訓練用キッチンで1段階目から試してみる
  5. 反応を見て「もっと簡単な代替動作案を」と再依頼し調整する
9

自宅内の転倒リスク診断

できること
一般的な転倒リスク要因のチェックリスト整理
使える場面
訪問リハ・退院前指導で家族に注意点を伝えたい場面
今すぐ試すなら
段差・照明・動線などの家庭内リスク項目リストを作成させる
注意点
AIは実際の家屋を見ていない。現地確認の代わりにはしない。写真を使う場合は個人が特定される映り込みに注意する
実践5ステップ
使うツール:ChatGPTClaude(画像対応版)

  1. 「段差・照明・動線の観点から家庭内の転倒リスクチェックリストを作って」と依頼する
  2. 出力を訪問リハ用のクリアファイルに入れて携行する
  3. 家族の同意を得た上で、顔・表札・郵便物など個人が特定される物が写り込まないよう構図を選んで自宅写真を撮影する
  4. その写真をAIに見せ「気になる点は?」と補助的に聞き、指摘は参考情報として扱う
  5. 最終判断は必ず自分の目で実地確認して行い、リスク箇所を家族に説明する資料としてまとめる
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認知機能の日常課題化

できること
日常生活に組み込める認知課題のアイデア整理
使える場面
軽度認知機能低下がある患者への生活密着型課題を考える場面
今すぐ試すなら
「買い物リストを使った認知課題を5つ」と依頼する
注意点
認知機能評価そのものはAIに行わせず、標準化評価法を使う
実践5ステップ
使うツール:ChatGPT または Claude

  1. 「買い物リストを使った認知課題を5つ作って」など場面を指定して依頼する
  2. 患者の認知レベルに合いそうな課題を1〜2個選ぶ
  3. 実際にリハビリの中で試し、達成度をメモする
  4. 難易度が合わなければ「もう少し易しく/難しく」と再依頼する
  5. うまくいった課題は自分専用のストックとしてNotion等に蓄積する

STAGE 3 / FUTURE

第3章:ここからが面白い。未来のリハビリを変えるAI活用

ここから先は「開発」の話に聞こえるかもしれませんが、専門知識がなくても始められるよう、できるだけかんたんな方法に絞って紹介します。

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リハビリ専用の反応装置作り(カメラではなくセンサー)

できること
カメラや専用ゲーム機がなくても、「圧センサー」という小さな部品と、AIが書いてくれるプログラムを組み合わせるだけで、「押す・踏む・握る」といった動作に反応してLEDが光ったり音が鳴ったりする、簡単な装置を作れる
使える場面
単調になりがちな上肢・下肢の反復練習に、ちょっとした反応や達成感を加えたい場面
今すぐ試すなら
「圧センサー(FSR)とArduinoを使って、一定の力で押すとLEDが光る仕組みのプログラムを、配線図つきで初心者向けに書いて」とAIに依頼する
注意点
医療機器としてではなく、あくまで「やる気を高めるための道具」として使う。患者に使わせる前に施設の安全管理部門に確認する
実践5ステップ
使うツール:Arduinoarduino.cc)+圧センサー(FSR)+ChatGPTClaude

  1. Arduino公式サイト(arduino.cc)や通販サイトで「Arduino Uno」という基盤(数千円程度)と「圧センサー(FSRセンサー)」を1つ購入する
  2. パソコンに「Arduino IDE」という無料の書き込みソフトをインストールする
  3. AIに「Arduino Unoと圧センサー(FSR)を使い、一定以上の圧力を加えるとLEDが光るだけの簡単なプログラムを、初心者向けに配線図の説明つきで書いて」と依頼する
  4. AIが出したプログラムをArduino IDEにコピーし、説明どおりに配線してから書き込みボタンを押す
  5. 実際に指で押して動作を確認し、慣れたら「音を鳴らす」「回数を数える」など機能をAIに追加で依頼して育てていく
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自院データを使った予後予測づくり(学会発表にも)

できること
ゼロから予測AIを作るのではなく、自分の病院にすでに溜まっている患者データ(Excelなどの表)を、AIに手伝ってもらいながら分析し、「自分の病院ではこういう患者さんはこういう経過をたどりやすい」という自院オリジナルの傾向を見つける。学会発表用のデータ整理にも使える
使える場面
症例数が集まってきたが、傾向を分析する時間や統計の知識が足りない場面
今すぐ試すなら
個人情報を消したExcelデータをAIに読み込ませ「年齢・発症からの日数・FIM得点と、退院時の歩行自立度の関係を分析して」と依頼する
注意点
個人情報は必ず削除してから使う。統計手法が妥当かどうかは、統計に詳しい人や指導者に必ず確認する。学会発表前には倫理審査など院内の手続きを確認する
実践5ステップ
使うツール:Excel(またはGoogleスプレッドシート)+ChatGPTClaude(ファイル添付ができるプラン)

  1. 普段の評価・記録から、氏名などを消した状態で患者データをExcelにまとめていく(1人1行、項目ごとに1列)
  2. ある程度件数が貯まったら(目安30件以上)、氏名などが本当に入っていないか再確認する
  3. AIにExcelファイルをアップロードし「年齢・発症日数・FIM得点と退院時歩行自立度の関係を、グラフと簡単な説明つきで分析して」と依頼する
  4. 出てきた分析結果を、院内の先輩や統計に詳しい人と一緒に確認し、妥当かどうかを検討する
  5. 学会発表を目指す場合は、早い段階で施設の倫理審査担当・上司に相談し、必要な手続きを確認してから進める
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歩行の写真をAIに見てもらう(動画やプログラムは不要)

できること
難しいプログラムを組まなくても、歩いている動画から気になる場面を写真(スクリーンショット)にして、それをAIに見せるだけで「ここの動きが気になる」といった気づきをもらえる
使える場面
歩行の変化を、患者さんや家族にわかりやすく説明したい場面
今すぐ試すなら
スマホで撮った歩行動画から、気になる瞬間(かかとが着く瞬間、膝が伸びきる瞬間など)で一時停止してスクリーンショットを撮り、その画像をAIに見せて「この写真の膝の曲がり具合について、気づいた点を教えて」と聞く
注意点
AIの回答は「気づきのヒント」程度に留め、正式な評価・診断には使わない。数値化された角度などは参考値であり、必ず自分の目で確認する
実践5ステップ
使うツール:スマホのカメラ+ChatGPTClaude(画像を見せるだけ、プログラムは不要)

  1. 患者さんの同意を得て、スマホで横から見た歩行動画を撮影する
  2. 動画を再生し、気になる瞬間(かかとが接地する瞬間など)で一時停止してスクリーンショットを撮る
  3. ChatGPTClaudeのチャット画面にそのスクリーンショットをそのままアップロードする
  4. 「この写真の膝の曲がり具合、体の傾きについて、気づいた点を教えて」と質問する
  5. AIの回答はあくまでヒントとして扱い、実際の評価・説明は自分の目での確認をもとに行う
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かばうような動き(代償動作)を写真で確認

できること
動画のかわりに、気になる場面の写真をAIに見せて「これは体をかばうような動き(代償動作)に見えますか?」と聞くだけで、見落としがちなポイントに気づくヒントがもらえる
使える場面
動作を見るときの「視点」を増やしたい場面
今すぐ試すなら
気になる動作の写真をAIに見せて「よく見られる代償動作のパターンを教えて。この写真に当てはまるものはありますか?」と聞く
注意点
AIの回答は一般的な知識にもとづく参考意見。実際の動作の判断は必ず自分の目で行う
実践5ステップ
使うツール:スマホのカメラ+ChatGPTClaude

  1. 気になる動作の写真やスクリーンショットを用意する(項目13と同じ方法で撮影できる)
  2. AIに「リハビリでよく見られる代償動作(体をかばうような動き)には、どんなパターンがありますか?」と一般知識として聞く
  3. 出てきたパターンの説明を読み、自分の患者さんの動きと照らし合わせる
  4. 気になる写真をAIに見せ「この写真は、さっき教えてもらった代償動作のどれかに近いですか?」と聞いてみる
  5. AIの答えはヒントとして受け止め、最終的な判断は自分の目で行う
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自主トレの動きをカメラで見分ける(無料・ノーコード)

できること
パソコンのカメラを使って、「正しい動き」と「まだ不十分な動き」をあらかじめ何回か見せてあげると、AIが自分でその違いを覚えて、新しい動きが「正しいか」「不十分か」を見分けてくれるようになる、無料のWebサービス。プログラムを書く必要は一切ない
使える場面
自宅での自主トレが正しくできているかを、機械にもチェックを手伝ってもらいたい場面
今すぐ試すなら
パソコンのブラウザで「Teachable Machine」というGoogleの無料サイトを開き、スタッフが「正しいスクワット」と「浅すぎるスクワット」をそれぞれ20回くらいカメラに見せて覚えさせる
注意点
覚えさせる映像は患者さんではなくスタッフが撮影する。見分ける精度はまだ完璧ではないので、あくまで補助として使う
実践5ステップ
使うツール:Google Teachable Machineteachablemachine.withgoogle.com、無料・インストール不要)

  1. パソコンのブラウザで teachablemachine.withgoogle.com を開く
  2. 「Get Started」→「Pose Project」を選ぶ(アカウント登録もソフトのインストールも不要)
  3. スタッフ自身が「正しい動き」をカメラの前で20〜30回、「不十分な動き」も同じくらい見せて、それぞれ別の枠に登録する
  4. 「Train Model」のボタンを押すと、数分でAIが違いを覚える
  5. 新しい動きをカメラに映して、AIが「正しい」「不十分」のどちらと判定するか試してみる。うまくいかない場合は撮影する映像を増やしてやり直す
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活動量計のデータをAIにまとめてもらう

できること
FitbitApple Watchなど、患者さんがすでに持っている活動量計のデータを、AIに読み込ませて「入院中と退院後で、どのくらい体を動かしているか」の変化をわかりやすい言葉でまとめてもらう
使える場面
退院後の生活で、ちゃんと体を動かせているかを確認したい場面
今すぐ試すなら
活動量計のアプリからデータ(歩数や活動時間)を書き出し、氏名などを消してからAIに読み込ませ「この1週間の活動量の変化を、わかりやすくまとめて」と頼む
注意点
データを書き出すときに氏名やメールアドレスが一緒に入っていないか確認し、あれば消してからAIに渡す
実践5ステップ
使うツール:Fitbitアプリ/AppleヘルスケアアプリChatGPTClaude

  1. 患者さん(または家族)に、活動量計のアプリ(FitbitアプリやAppleのヘルスケアアプリなど)を開いてもらう
  2. アプリの設定メニューから「データのエクスポート(書き出し)」を探し、CSVやPDFの形でデータを保存する
  3. 保存したファイルを開き、氏名やメールアドレスなど個人がわかる情報が含まれていないか確認し、あれば消す
  4. AIにそのファイルをアップロードし「この1週間の活動量の変化を、グラフと簡単な言葉でまとめて」と依頼する
  5. 出てきたまとめを見ながら、次回の診療で患者さんと一緒に振り返る
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市販VRフィットネス機器+AIでメニュー考案

できること
自分でVRのプログラムを一から作るのはとても難しいので、代わりに「すでに売られているVRフィットネス製品」を使い、AIには「その製品を使ってどんな運動メニューを組むか」を考えてもらう、という役割分担にする
使える場面
単調な反復練習に変化をつけたいが、開発の知識はない場面
今すぐ試すなら
Meta Quest」のようなVR機器で使える、体を動かすゲームやフィットネスアプリをインターネットで探し、その内容をAIに伝えて「この患者さんの目的(バランス練習など)に合わせて、週3回・1回15分のメニュー案を作って」と依頼する
注意点
VR機器は転倒・映像酔いのリスクがあるため、必ずスタッフが付き添い、安全な環境で試す。導入前に施設の安全管理部門に相談する
実践5ステップ
使うツール:市販のVRフィットネス製品(例:Meta Quest向けアプリ)+ChatGPTClaude

  1. インターネットで「VR フィットネス 高齢者」などのキーワードで、市販されているVR運動アプリを調べる(価格・対応機器を確認する)
  2. 見つけたアプリの内容(どんな動きをするか)をメモする
  3. AIにそのメモを見せ「このアプリを使って、バランス練習を目的とした週3回・1回15分のメニュー案を作って」のように依頼する
  4. 作られたメニュー案を、実際の患者さんの体力・リスクに合わせて自分で調整する
  5. 初回は必ずスタッフが付き添い、映像酔いや転倒がないか確認しながら試す

07

17アイデア一覧表

分類 AI活用アイデア できること 今すぐ試すなら 注意点
A 1. 評価シートのたたき台作成 原著スケールに沿った評価項目を表形式で出力 BBS等の名前を指定して依頼、既存用紙の画像も活用 原著と項目・採点基準を必ず照合
A 2. サマリー文章の下書き・洗練 匿名化した文章をより読みやすく整える 個人情報を消してから文章整形を依頼 カルテ入力には使わない
A 3. 患者説明の言い換え 専門用語をやさしい言葉に変換 説明文を高齢者向けに変換 医学的ニュアンスの喪失に注意
A 4. 自主トレ表の作成 運動表のたたき台作成 対象・回数・中止基準を指定し自分で撮影した写真を添付 負荷量は必ず個別調整
A 5. 新人教育教材 練習問題・用語集の作成 架空症例で練習問題作成 実在患者情報を使わない
A 6. 家屋調査チェックリスト 確認項目リストの作成 疾患別チェックリスト作成 現地確認の代わりにしない
A 7. 福祉用具比較整理 用具特徴の比較表作成 特徴を比較表に整理 選定判断は専門職が行う
B 8. 買い物・料理・掃除の課題化 IADL練習課題の段階案作成 調理動作の段階案を依頼 安全確認は個別に実施
B 9. 自宅内転倒リスク診断 一般的リスク項目の整理 家庭内リスクチェックリスト作成 写真の映り込みと現地確認に注意
B 10. 認知機能の日常課題化 日常課題のアイデア整理 生活密着型の認知課題を依頼 評価は標準化ツールを使用
C 11. 反応装置作り(圧センサー) 圧センサー×Arduinoの反応装置 AIにプログラムと配線図を依頼 医療機器と誤解されない位置づけで
C 12. 自院データの予後予測 院内データの傾向分析・学会発表準備 匿名化Excelを分析依頼 倫理審査等の院内手続きを確認
C 13. 歩行写真のAI確認 写真を見せて気づきをもらう 気になる瞬間のスクショをAIに見せる 診断・評価には使わない
C 14. 代償動作の写真確認 代償パターンの一般知識を確認 写真を見せてパターンとの一致を質問 最終判断は目視で行う
C 15. 自主トレの動き判定(Teachable Machine カメラでの動作分類(ノーコード) スタッフの映像で学習させる 患者を撮影対象にしない
C 16. 活動量計データの要約 活動量の傾向をわかりやすく要約 エクスポートしたデータをAIに要約依頼 個人情報を消してから渡す
C 17. 市販VR機器+AIメニュー考案 既存VR製品を使った運動メニュー考案 製品情報をAIに伝えメニュー作成依頼 付き添い必須、安全管理部門に相談

08

そのまま使えるAI活用プロンプト例(5個)

① 評価シートのたたき台作成(原著スケール指定)

あなたは理学療法士の資料作成を補助するAIです。BBS(Berg Balance Scale)の原著に沿って、
項目・採点基準を変えずに、評価シートを表形式でPDF出力できる形にまとめてください。
個人情報は含めず、一般的な評価項目のみとしてください。

② サマリー文章の洗練

これは匿名化済みのサマリー下書きです。医療者が読みやすいよう、文章を整えてください。
事実関係(症状・経過・数値)は変えず、文章表現のみを整えてください。
(匿名化済みの下書きを貼り付け)

③ 自主トレ表の作成

以下の条件で、医療専門職が確認してから患者に渡すための自主トレ表のたたき台を作成してください。
【対象】変形性膝関節症、屋内歩行自立
【条件】専門用語を避ける/1回10分以内/痛みが出たら中止と明記する
【出力形式】表形式で、運動名・目的・回数・注意点を整理

④ 院内データの傾向分析(自院ビッグデータ)

添付は匿名化済みの当院患者データです(氏名等は含まれていません)。
年齢・発症からの日数・FIM得点と、退院時の歩行自立度の関係について、
グラフと簡単な説明つきで分析してください。断定的な結論ではなく、
「傾向として考えられること」として提示してください。

よくある誤った使い方

氏名・生年月日・住所などが残ったままの原文を、そのままAIに貼り付けて
「個人情報を探して消して」と頼む
→ この時点で、消してほしいはずの個人情報がすでにAIへ送信されてしまっています。

⑤ 匿名化「済み」テキストの見落としチェック

これは匿名化処理を済ませた文章です。氏名・生年月日・住所・入院日・病院IDなど、
個人を特定できる情報が誤って残っていないか確認してください。
残っていた場合はその箇所だけを具体的に指摘してください。
(先に自分の手でWordの「検索と置換」等を使い、氏名等を【匿名】に置き換えてから、
この匿名化済みテキストのみを貼り付けてください)

※ 個人情報の除去そのものをAIにやらせるのではなく、必ず先に自分の手で匿名化してから、AIには「見落としがないかの最終チェック役」として使うのが安全な順番です。


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医療・リハビリ分野での注意点

  • 個人情報をAIに入力しない。氏名・生年月日・住所・病院IDなどは入力前に必ず匿名化する。写真・活動量データなど文章以外の情報も同じ扱いにする
  • 個人情報の除去自体をAIにやらせない。匿名化は自分の手で先に行い、AIには「見落とし確認」など二次チェックの範囲で使う
  • 無料版AIサービスは入力内容が既定でモデル改善に使われる場合がある。設定でのオプトアウト、または施設契約の法人向けプランの利用を優先する
  • 患者の安全確認を最優先する。AIの提案を試す前に疼痛・転倒リスク・バイタルを確認する
  • AIの提案をそのまま患者に使わない。必ず医療専門職が内容を確認・調整する
  • 医療判断・リスク判断・運動可否の最終判断は専門職が行う。AIに委ねない
  • AIは万能ではなく、たたき台を作る道具である。特に第3章の内容は発展途上の技術が多い
  • 予後予測や分析結果はAIだけで断定しない。あくまで検討材料の整理として使う
  • 「治療効果」を謳う装置・VR・アプリ等は薬機法上の医療機器プログラムに該当し得る。導入前に必ず施設の医療安全部門・関連部署に確認する
  • 自作の電子機器(Arduino等)を安全性未確認のまま患者に直接使用しない
  • 院内ルール・所属施設の情報管理ルールに従う

保存版:AIで医療・リハビリ資料を作る前のチェックリスト









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まとめ

ここまで、本当に現場で使えるもの・かんたんな言葉で説明できるものだけを17個、厳選して紹介しました。数を絞った分、それぞれをより具体的に、より実践しやすく書いています。

リハビリ職にとってAIは、仕事を奪う存在ではなく、評価・説明・資料作成・データ分析を補助する道具です。最初から高度なシステムを作る必要はありません。まずは「患者説明をわかりやすくする」「自主トレ表を作る」「評価シートの下書きを作る」といった小さな活用から始めれば十分です。

AIは療法士の判断を置き換えるものではなく、考える材料を増やす道具です。リハビリ職がAIを使う価値は、専門性をなくすことではなく、専門性をより伝わりやすくすることにあります。

AIは完成品を作らない。速い下書きを作るだけ。
「やさしくして」だけでは変わらない。条件を書くから変わる。
赤ペンを入れる相手が、人からAIに変わっただけ。
本記事の内容は、AIを使った資料作成・情報整理の効率化を目的とした活用例です。診断、治療方針、運動処方の決定をAIに委ねるものではありません。患者情報を扱う場合は必ず匿名化し、最終的な判断は医療専門職が行ってください。

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