【2026年最新】text-to-CAD AI9選、スタンドアロン型と既存CAD組み込み型を体系比較する。
テキストを打つだけでCADモデルが出てくる――そんな環境が2026年にどこまで実用段階に入ったのかを、スタンドアロン生成型5本と、業界4大CADベンダーが自社ソフトに載せた組み込み型4本に分けて整理する。STEP出力対応の有無、料金、そして「ChatGPTに投げても3Dモデルは出てこない」理由まで、一次情報にあたって検証した。
目次
- 導入:なぜ今「text-to-CAD」が動き始めたのか
- 背景・定義:text-to-CADとは何か、何と混同されやすいか
- 仕組み・技術的背景:コード生成型 vs ジオメトリ直接生成型
- 比較・選択肢:スタンドアロン型 vs 既存CAD組み込み型
- 実践への落とし込み:治具づくりを最短で終える5ステップ
- 注意点・よくある誤解
- FAQ・参考文献

導入:なぜ今「text-to-CAD」が動き始めたのか
結論から書く。2026年7月時点で、テキストからCADを自動生成するAIは「万能ではないが、寸法が明確な機能部品や治具なら実用に足るレベル」に入った。3Dプリンターを持っている人なら一度は考えたはずだ。「M8ボルトが通る穴と面取り付きのブラケット、寸法はこう」と入力するだけでSTLが出てこないか、と。
この1年で業界にはもう一つ地殻変動が起きている。Autodesk・PTC(Onshape)・Siemens・Dassault Systèmesという業界4大CADベンダーが、いずれも自社ソフトの内部に「AIコパイロット」を組み込み始めた。ただし、その中身は「モデルを生成する」ものと「操作を支援するだけ」のものに大きく二分される。この違いを理解しないままツールを選ぶと、期待外れに終わりやすい。
Markforgedの共同創業者だったGreg Mark氏とDavid Benhaim氏が2025年に立ち上げたBackflipは、3Dスキャンデータから編集可能なCADモデルを自動再構成する「Scan-to-CAD」を武器に、NEAとAndreessen Horowitzが共同リードする3,000万ドルのシリーズAを調達した。投資家にはMicrosoft CTOのKevin Scott氏や、Transformer論文の共著者Ashish Vaswani氏も名を連ねる。「壊れた部品をスキャンして即座に製造可能なCADへ変換する」というシナリオは、もはや構想段階ではない。
本稿では、text-to-CAD領域を「スタンドアロン生成型」(Webブラウザ単独で完結し、テキストや画像からジオメトリを直接生成するタイプ)と「既存CAD組み込み型」(Autodesk・PTC・Siemens・Dassaultが自社CADに載せたAIアシスタント)の2カテゴリーに分け、9つの主要ツールと周辺4ツールを横断的に比較する。
背景・定義:text-to-CADとは何か、何と混同されやすいか
text-to-CADとは、自然言語のプロンプト(あるいは画像・3Dスキャンデータ)から、寸法や公差を持つパラメトリックな3D形状——STLやSTEPといったCAD互換形式のファイル——を自動生成する技術を指す。似た言葉に「メッシュ生成AI」があるが、これは別物だ。
Meshy・Tripo・Hunyuan3Dのようなメッシュ生成AIは、フィギュアやゲームアセットなど、サーフェスのディテールや色情報を重視する造形物向けに作られている。対してtext-to-CADは、穴・面取り・公差といった「嵌合する」「ネジが通る」精度を持つ機能部品・治具の生成を目的とする。この違いを取り違えると、ツール選びの時点でつまずく。
「モデル生成AI」と「操作支援AI」は別物
もう一つ、読者が最も誤解しやすい区分がある。Onshape AI Advisor・Siemens Design Copilot・Dassault Aura(2026年7月時点で一般提供されている機能の範囲)は、自然言語からモデルを生成する機能を持っていない。Onshapeの公式ページには次のように明記されている。
“Although it’s great for answering design questions and linking to helpful docs, it doesn’t create designs, spot real-time errors, or handle complex engineering choices.”
──Onshape公式「AI for Better CAD Design」より
つまりOnshape AI Advisorは、Onshapeの公式ドキュメントとチュートリアル動画を検索して回答する「チャット型アシスタント」であり、Adam(adam.new)やZoo Text-to-CADのように、プロンプトから実際にジオメトリを生成するツールとは目的が根本的に異なる。「AI」という言葉でひとくくりにせず、「生成」か「操作支援」かを最初に切り分けてから選ぶのが、失敗しないコツだ。
ChatGPTやClaudeで3Dモデルは作れない、という誤解
「AIで3Dモデル」と聞いて、多くの人がまず試すのがChatGPTやClaudeに直接プロンプトを投げる方法だ。しかし返ってくるのはPythonスクリプトの断片か、もっともらしい説明文だけで、STLもSTEPも降ってこない。これは当然で、現行の汎用LLMは3Dジオメトリを直接出力する訓練を受けていないためだ。LLMが出力できるのは、OpenSCADやCadQueryといったテキストベースの中間コードまでで、そこからCADカーネルでレンダリングしてSTL・STEPに変換する工程が別途必要になる。
ここに専用ツール群としての「text-to-CAD」が入る。設計思想は大きく2系統に分かれ、次章で扱う。
仕組み・技術的背景:コード生成型 vs ジオメトリ直接生成型
text-to-CADの内部アーキテクチャは、大きく2つに分類できる。
- コード生成型:LLMがOpenSCADやCadQueryといったスクリプト言語のコードを生成し、それをCADカーネルでレンダリングしてSTL等を出力する。PromptSCADやCADAMがこの方式を採る。
- ジオメトリ直接生成型:LLMとは別の学習済みモデルが、CADファイル(STEP/B-Rep)を直接出力する。Zoo Text-to-CADやBackflipがこちらに当たる。
この違いは、出力形式や編集可能性に直結する。Zoo社の公式ブログでは、この設計思想が明確に説明されている。
“We do not use point clouds, we generate B-Rep surfaces. So you can import a STEP file from Text-to-CAD into any existing CAD program and edit it.”
──Zoo公式ブログ「Introducing Text-to-CAD」より
点群やメッシュを生成するのではなく、境界表現(B-Rep)でソリッドを直接生成するからこそ、STEPファイルとして既存CADに読み込んで編集できる、という理屈だ。この設計はメッシュ生成AIとの決定的な違いであり、「機能部品向け」を名乗るツールの技術的な裏付けになっている。
CADAM(GitHub: Adam-CAD/CADAM)はGPLv3のオープンソースで、フロントエンドにReact 18とThree.js、CADカーネルにOpenSCADのWebAssemblyビルドを採用し、自然言語理解の部分は複数のLLMプロバイダーに対応する構成になっている(リポジトリの環境変数にはANTHROPIC_API_KEY、OPENAI_API_KEY、GOOGLE_API_KEYなどが用意されている)。出力は.STL・.SCAD・.DXFの3形式で、BOSL・BOSL2・MCADといったOpenSCAD界隈の主要ライブラリをサポートする。
寸法が明確なら強い、曖昧だと弱いという共通の癖
実際にツールを触ったユーザーレポートに共通するのは、「歯数20、ピッチ円直径100mm、厚み5mmのヘリカルギア」のように寸法と構造をCAD用語で明確に指定すると再現性が高く、「かっこいいベンチー(3Dプリント定番の検証モデル)を作って」のような曖昧な指示には弱い、という挙動だ。これは機械設計の素養がある人ほど使いこなせることを意味する。単一オブジェクトの生成には強いが、複数部品からなるアセンブリの自動生成は、2026年7月時点でもまだ多くのツールの弱点として残っている。
比較・選択肢:スタンドアロン型 vs 既存CAD組み込み型
まず、スタンドアロン生成型を代表する3ツールを軸に、性格の違いを比較する。いずれも実際に触って寸法指定のプロンプトを試したユーザーレポート、および各社の公式ドキュメントに基づく。
| 項目 | A: Zoo Text-to-CAD | B: Adam(adam.new) | C: Backflip |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Zoo(旧KittyCAD) | Adam(YC W25出身) | Backflip, Inc.(Markforged創業者組) |
| 入力 | 自然言語 | 自然言語 | 3Dスキャン/画像/テキスト |
| 生成方式 | ジオメトリ直接生成(B-Rep) | ジオメトリ直接生成 | スキャンデータからのCAD再構成 |
| STEP出力 | ◯(既定で出力) | △(レビュー記事上は「ロードマップ」、公式明記なし) | ◯(Onshapeネイティブ連携あり) |
| 料金体系 | 従量課金(無料枠あり、詳細は公式pricingで要確認) | サブスクリプション(Standard/Proの2段階、詳細は公式pricingで要確認) | freemium(クレジット制、詳細は公式サイトで要確認) |
| 強み | 寸法指定プロンプトへの応答精度 | UXの洗練度、Onshape統合 | 実在部品のスキャン→編集可能CAD化 |
| 制約 | 単一オブジェクト中心、アセンブリ非対応 | STEP出力が非公式 | SOLIDWORKSプラグインはウェイトリスト制 |
脚注:料金は変動が激しい領域のため「編集部見解」として、必ず各社公式サイトの最新情報を確認すること。出典:Zoo公式FAQ、Adam公式pricing、Backflip公式サイト。
既存CAD組み込み型4本の性格
業界4大CADベンダーのAIコパイロットは、性質が大きく異なる。この中で自然言語からのモデル生成に踏み込んでいるのはAutodeskのFusion Text to Commandのみで、残り3社は「操作支援・文書検索」が主目的だ。
| 提供元 | 製品名 | モデル生成 | 性格 |
|---|---|---|---|
| Autodesk | Fusion内 Autodesk Assistant(Text to Command) | △(既存モデルへのコマンド実行が中心) | 2026年7月時点でTech Preview。Extrude・Fillet・Chamfer等を自然言語で実行 |
| PTC | Onshape AI Advisor | ×(公式に非対応と明記) | Amazon Bedrock採用の文書検索型チャット |
| Siemens | Design Copilot(NX/Solid Edge) | × | アプリ内学習支援アシスタント、母国語対応を標榜 |
| Dassault Systèmes | Aura(SOLIDWORKS Connected/3DEXPERIENCE) | ×(2026年7月時点で出荷済み機能は文書検索が中心) | Mistral AI搭載、Dassault自社Outscaleクラウドで運用 |
出典:Autodesk Fusionブログ、PTC公式ニュース、Engineering.com(Siemens)、DEVELOP3D(Dassault 3DExperience World 2026レポート)。
なお、Dassault Systèmesは2026年2月の3DExperience World 2026で、Auraに加えて材料・化学分野向けの「Marie」、エンジニアリング・製造分野向けの「Leo」という新エージェントを発表している。この社内版「Leo」は2026年半ばのリリース予定で、後述する独立系スタートアップLeo AI(getleo.ai)とは無関係の別製品・別会社である点に注意したい。名称が同じため混同されやすいが、明確に別物として扱うべきだ。
実践への落とし込み:治具づくりを最短で終える5ステップ
ステップ1:目的に応じてツールを選ぶ
3Dプリント用の治具を個人で作りたいなら、無料で試せるCADAMかPromptSCADから。業務でSTEP出力が必須なら、Zoo Text-to-CADから始めるのが合理的だ。
個人開発者がBambu Lab系の3Dプリンター用に、配線をまとめるケーブルクリップ治具を作るケースを想定する。「幅30mm、クリップ内径6mm、壁厚2mm、取り付け穴はM3クリアランス」とZoo Text-to-CADに寸法をそのまま打ち込むと、STEPファイルが返る。曖昧に「ケーブルをまとめるやつ」とだけ打つと、狙った内径・壁厚にならないことが多い——というのが編集部での試用時の傾向であり、ツールの得意・不得意を体感する分かりやすい違いになる。
ステップ2:生成モデルのメッシュ健全性を確認する
AI生成のSTLは、メッシュの穴・法線反転・自己交差を含むことがある。そのままスライサーに投入すると印刷失敗につながりやすい。Meshmixerなどでnon-manifold edgeやホールの有無を確認するのが安全だ。STEP形式であれば、FreeCADやOnshapeで開いて再エクスポートすることで安定させやすい。
ステップ3:スライサーに投入し、初回は小さめにテスト出力する
レイヤー高さ0.2mm、インフィル25〜40%を初期値の目安とし、最初の1個は小さめのテストプリントで寸法を確認してから本番に進む、という手順が実務上の失敗を減らす(編集部見解)。
ステップ4:嵌合公差は自分で明示する
シャフトと軸受けの隙間のような嵌合公差は、2026年7月時点のAIがプロンプトから自動算出してくれる段階にはない。「シャフト径8.0mm、穴径8.2mm」のように数値を明示し、材料収縮(PLAは一般に0.2〜0.5%程度)を踏まえて実機でクリアランスを詰める工程は、引き続き人間の仕事として残る。
ステップ5:商用利用前にライセンスと類似意匠を確認する
「無料だからそのまま業務に使える」と早合点せず、生成物の商用利用条件は各社の利用規約を必ず確認したい。ジオメトリ直接生成型のツールは学習データの痕跡が形状に残る可能性もゼロではないため、商品化や特許出願を視野に入れる場合は、既存の意匠・特許調査を別途行ってから量産に進むのが安全だ(編集部見解)。
注意点・よくある誤解
Onshape AI Advisor・Siemens Design Copilot・Dassault Auraは、2026年7月時点で「自然言語からモデルを生成する」機能を持たない、または限定的だ。「AI搭載」という言葉だけで期待値を上げすぎないほうがいい。
スタートアップ系のtext-to-CADツールは、料金プランや対応出力形式が数ヶ月単位で変わることが珍しくない。Adamの料金は複数のレビュー記事で異なる数字が紹介されており、本稿執筆時点でも情報源によって開き(月額の下限が10ドル未満〜20ドル台まで)があった。導入前に必ず公式pricingページを直接確認してほしい。
Fusion Text to Commandのように既存モデルへの操作を自然言語化するツールと、Zooのように0からジオメトリを生成するツールは、そもそも解決する課題が異なる。両者は競合関係ではなく、多くの場合は補完関係にある。
FAQ|よくある質問
参考文献
- Adam公式サイト.https://adam.new/
- AdamCAD公式Pricing.https://www.adamcad.com/pricing
- Y Combinator.「Adam: AI Powered CAD」.https://www.ycombinator.com/companies/adam
- Adam-CAD/CADAM(GitHubリポジトリ).https://github.com/Adam-CAD/CADAM
- Zoo.「Frequently Asked Questions」.https://zoo.dev/docs/faq
- Zoo公式ブログ.「Introducing Text-to-CAD」(2023年12月).https://zoo.dev/blog/introducing-text-to-cad
- Zoo公式ブログ.「Turning on billing for Text-to-CAD」.https://zoo.dev/blog/turning-on-billing-for-text-to-cad
- Backflip AI公式サイト.https://www.backflip.ai/
- 3D Printing Industry.「New AI Model from Backflip Accelerates 3D Scan-to-CAD」(2025年3月).https://3dprintingindustry.com/news/new-ai-model-from-backflip-accelerates-3d-scan-to-cad-237055/
- Forbes.「How Backflip’s AI Aids Amateur And Veteran 3D Designers Alike」(2025年2月).https://www.forbes.com/sites/michaelmolitch-hou/2025/02/20/how-backflips-ai-aids-amateur-and-veteran-3d-designers-alike/
- PromptSCAD公式サイト.https://promptscad.com/
- Onshape公式.「AI for Better CAD Design」.https://www.onshape.com/en/features/ai-advisor
- PTC.「PTC Strengthens CAD AI Offerings with Latest Onshape AI Advisor Release」(2025年10月).https://www.ptc.com/en/news/2025/ptc-announces-latest-onshape-ai-advisor-release
- Siemens.「Siemens brings AI copilot to NX」(Designcenter NX Summer 2025).https://news.siemens.com/en-us/siemens-designcenter-nx-summer-2025/
- Engineering.com.「Designcenter Solid Edge 2026 launches with AI design copilot」(2025年10月).https://www.engineering.com/siemens-launches-solid-edge-2026-with-ai-design-copilot/
- DEVELOP3D.「Event report: 3DExperience World 2026」.https://develop3d.com/cad/event-report-3dexperience-world-2026/
- CADimensions.「What Is AURA? The New AI Assistant in SOLIDWORKS Connected」.https://resources.cadimensions.com/cadimensions-resources/aura-your-new-personal-design-assistant-in-solidworks-0
- Leo AI(getleo.ai).「SolidWorks AURA Review 2026」(2026年4月).https://www.getleo.ai/blog/solidworks-aura-review-2026
- Autodesk.「Autodesk Assistant Enters a New Era」(Fusionブログ).https://www.autodesk.com/products/fusion-360/blog/autodesk-assistant-enters-a-new-era/
- Leo AI.「Leo AI raises $9.7M to build the world’s first AI for Mechanical Engineering」(2025年9月).https://www.getleo.ai/blog/leo-ai-raises-9-7m-to-build-the-world-s-first-ai-for-mechanical-engineering
- StartupHub.ai.「Leo AI Raises $9.7M for Large Mechanical Model」(2025年9月).https://www.startuphub.ai/ai-news/funding-round/2025/leo-ai-raises-9-7m-for-large-mechanical-model
- MecAgent公式サイト.https://mecagent.com/
- MecAgent.「MecAgent raises $3M to automate and optimize mechanical design with autonomous agents」.https://mecagent.com/blog/revolutionizing-cad-with-ai
- MecAgent公式Pricing.https://mecagent.com/pricing-pro
- BackToCAD Technologies.「CADGPT」.https://solutions.backtocad.com/pages/autocadgpt
- Y Combinator.「Draftaid: Go from 3D models to CAD drawings using AI」.https://www.ycombinator.com/companies/draftaid
- DraftAid公式FAQ.https://draftaid.io/faq/
- The Fabricator.「AI-powered tool automates 2D drawing creation from 3D CAD models」(2026年5月).https://www.thefabricator.com/thefabricator/article/cadcamsoftware/ai-powered-tool-automates-2d-drawing-creation-from-3d-cad-models
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