テスターの使い方完全ガイド|電圧・導通・抵抗の測り方と配線ミス対策

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テスター(マルチメーター)の使い方|電子工作の配線ミス・電源トラブルを数分で見つける実践ガイド







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テスター(マルチメーター)の使い方|配線ミス・電源トラブルを数分で見つける電子工作の実践ガイド

「配線は合っているはずなのに動かない」。電子工作でいちばん時間を取られるのは、目に見えない原因探しです。テスターがあれば、電気が来ているか、線がつながっているかを数字で確かめられます。この記事では、Arduinoやブレッドボードの工作で本当に使う測り方だけを、症状別の診断手順つきで解説します。

YOFUKASI LAB編集部
公開日:2026年10月14日
読了目安:20分

結論

電子工作で使うのは、ほぼ 3つ だけです。

  • 電圧(V⎓):電源を入れたまま、測りたい2点に並べて当てる。「電気が来ているか」がわかる。
  • 導通(ブザー):電源を切って当てる。「線がつながっているか」がわかる。
  • 抵抗(Ω):電源を切って当てる。「部品が正しい値か」がわかる。

電流(A)の測定は、回路に割り込ませる必要があり、テスターを壊しやすいので最後に覚えます。迷ったら、まず電圧を測るのが診断の基本です。

執筆・実機検証:YOFUKASI LAB運営者

理学療法士/Arduino・Pythonを使った医療機器制作・学会発表経験あり

この記事の前提

対象は、Arduino・ESP32・Raspberry Pi・micro:bitなど、電池やUSB(おおむね12V以下)で動かす電子工作です。家庭のコンセント(AC100V)の測定は扱いません。文中の電圧の数値は一般的な目安で、ボードや電源、テスターの機種によって多少ずれます。

Chapter 01 / Quick Guide

01症状別:まずどこを何で測るか(早見表)

トラブルの多くは、次の表のどこかに当てはまります。自分の症状の行を探して、左から順に測ってください。詳しい手順は第9章の診断ケースにあります。

Arduinoの電源不良やLEDの不点灯、センサーの異常など6つの症状別にテスターの測定箇所を示した図解

症状 最初に測るもの どこを 目安
ボード自体が動かない 電圧 ボードの5V(3.3V)とGNDの間 5V系ならおおむね4.7〜5.2V
センサーやモジュールが反応しない 電圧 そのモジュールのVCCピンとGNDピン 電源と同じくらいの値
ブレッドボードの片側だけ動かない 導通 電源レールの左半分と右半分 ブザーが鳴ればつながっている
触ると動いたり止まったりする 導通 ジャンパー線の両端(揺らしながら) 音が途切れたら断線・接触不良
LEDが点かない ダイオード LEDの足(電源を外して) 赤なら1.8〜2V前後の表示
モーターを回すとリセットする 電圧 モーター動作中のボードの5VとGND 動作中に大きく下がれば電源不足
センサー値が0か最大値に張りつく 電圧・導通 入力ピンの電圧と、配線のつながり 0Vか電源電圧のままなら配線の問題

目安の値は一般的な範囲です。USB 2.0の規格では、パソコン側のUSBポートの5Vは4.75〜5.25Vの範囲と決められています。

配線そのものの基本に自信がない場合は、先にArduinoの配線の基本とブレッドボードの使い方を確認しておくと、測る場所がすぐにわかるようになります。



Chapter 02 / Parts

02テスターの各部とダイヤル記号の読み方

差し込み口(ジャック)は3つか4つ

テスターの下側には、テストリード(赤と黒の線)を差す穴が並んでいます。黒は必ず「COM」、赤は測るものに合わせて差し替えます。ここを間違えるのが、テスターを壊す一番の原因です。

デジタルテスターのCOM端子・VΩ端子・電流測定端子とダイヤルの主な記号を説明した図解

ジャックの表示 差すリード 使う測定
COM 黒 すべての測定(基準になる側)
VΩ(機種により V Ω mA など) 赤 電圧・抵抗・導通・ダイオード。ふだんはここ
mA / µA 赤 小さな電流(数百mAまで)
10A / A 赤 大きな電流

ジャックの数や表示は機種によって違います。必ず取扱説明書で確認してください。

ダイヤルの記号

記号 意味 電子工作での使いどころ
V⎓(Vの上に実線と点線、または DCV) 直流電圧 電池、USB、Arduinoの5V・3.3V、ピンの電圧。最もよく使う
V~(ACV) 交流電圧 電子工作ではほぼ使わない
Ω 抵抗 抵抗器の値、可変抵抗、センサーの確認
スピーカーのマーク(•)))) 導通(ブザー) 配線・はんだ付け・ブレッドボードのつながり確認
矢印と棒のマーク(▶|) ダイオード LEDやダイオードの向きと良否
A⎓ / mA⎓ 直流電流 回路が使っている電流(中級者向け)
⊣⊢ / F 静電容量 コンデンサの値(付いている機種のみ)

オートレンジとマニュアルレンジ

最近のデジタルテスターの多くはオートレンジで、「V⎓」に合わせるだけで、測った値に合わせて桁を自動で切り替えてくれます。安価な機種に多いマニュアルレンジでは、「20V」「200mV」のように測る大きさを自分で選びます。マニュアルレンジのときは、測りたい値より大きいレンジのうち、いちばん小さいものを選びます。5V前後を測るなら「20V」です。値がわからないときは最大のレンジから始め、表示を見て下げていきます。表示に「1」や「OL」とだけ出るのは「範囲を超えている」という意味です。

テスターを含む工具の選び方全般は、Arduinoに必要なもの一覧(工具・部品7選)でも紹介しています。

Chapter 03 / Self Check

03最初の3分:テスター自体を点検する

測った値がおかしいとき、原因がテスターのほうにあることは意外と多くあります。使い始めと、久しぶりに使うときは、次の3つを確かめてください。

テスター使用前に確認するリードの接続位置・導通チェック・乾電池の電圧測定を3段階で解説した図

  1. リードの差し込みを確認黒はCOM、赤はVΩ。前回電流を測ったまま赤が「A」に差さっていないかを必ず見ます。
  2. リード同士を当てて、導通と抵抗を確認導通モードで赤と黒の先を当てると「ピー」と鳴り、抵抗モードでは0Ωに近い値(多くは1Ω未満)が出れば正常です。鳴らない・値が大きいときは、リードの断線か、テスター内部のヒューズ切れを疑います。
  3. 電圧がわかっているものを測る新しい単3アルカリ電池なら1.5〜1.6V前後が出ます。極端に違う値なら、テスター自体の電池切れも考えられます(画面に電池マークが出る機種が多い)。
プロの習慣:測定を終えたら、ダイヤルを「OFF」に戻し、赤リードをVΩに差し直してから片付けます。次に使うとき、電流用のジャックに差したまま電圧を測ってしまう事故を防げます。
Chapter 04 / Voltage

04電圧を測る:「電気が来ているか」

電圧は、2つの点の間の「電気の高さの差」です。だからテスターも、測りたい2点に並べて当てます(並列接続)。回路を切ったり外したりする必要はなく、電源を入れたまま安全に測れる、いちばん基本の測定です。電圧・電流・抵抗の関係そのものは電圧・電流・抵抗の基本で解説しています。

テスターの直流電圧モードを使いArduinoの5VとGND間の電圧を測定する手順と正常値の目安を示した図解

手順

  1. ダイヤルを V⎓(直流電圧)に合わせるマニュアルレンジなら、5V系は20V、3.3V系も20V(または2Vより大きい次のレンジ)。
  2. 黒リードをGNDに当てるボードのGNDピンや、ブレッドボードの青(-)のレールに当てます。ワニ口クリップで固定すると、片手が空いて楽です。
  3. 赤リードを測りたい点に当てる5Vピン、センサーのVCCピン、Arduinoの出力ピンなど。
  4. 表示を読むマイナスの値が出たら、赤と黒が逆です。壊れることはないので、当て直せば大丈夫です。

電子工作でよく測る電圧の目安

測る場所 正常の目安 おかしいときに疑うこと
Arduino Uno R3の5VピンとGND(USB給電) おおむね4.7〜5.2V USBケーブル・ポートの供給不足、ショート
Arduino Uno R3の3.3VピンとGND 3.2〜3.4V前後 3.3Vピンから大きな電流を取りすぎている
出力ピン(digitalWrite(HIGH)) 電源電圧に近い値(5Vボードなら5V近く) pinModeの設定忘れ、ピン番号の間違い
出力ピン(digitalWrite(LOW)) 0V近く ほかの回路から電圧がかかっている
新しい単3アルカリ電池 1.5〜1.6V前後 1.2V前後まで下がったものは交換の目安
新しい9V電池 9V〜9.5V前後 負荷をかけると大きく下がるものは消耗している
Raspberry PiのGPIO(HIGH) 3.3V前後 5Vがかかっていたら、すぐに配線を外す

ESP32やRaspberry Piなど、3.3Vで動くマイコンでは、ピンのHIGHは3.3V前後になります。Uno R4はR3と同じく5V動作です。ボードごとの違いはESP32とArduinoの違いやUno R3とR4の違いを参照してください。

プロのコツ1:電源ではなく「使う側」で測る

ボードの5Vピンで5Vが出ていても、センサーのVCCピンでは4Vしかない、ということがあります。途中のジャンパー線やブレッドボードの接触が悪いと、そこで電圧が下がるからです。電圧は、電気を使う部品の足で測るのが原則です。電源側と部品側で値が違えば、その間の配線に原因があります。

プロのコツ2:動いている最中に測る

モーターやサーボ、LEDをたくさん光らせる回路では、止まっているときは正常でも、動かした瞬間に電圧が下がることがあります。赤と黒をワニ口で固定し、動作させながら表示を見ると、電源不足かどうかがわかります。ただし、テスターの表示は1秒に数回しか更新されないので、一瞬だけ下がるような変化は見えないことがあります。

プロのコツ3:PWMの出力は「平均」が表示される

analogWrite() で出しているPWMは、実際には0Vと5Vを高速で切り替えている信号です。普通のテスターで測ると、その平均に近い値が表示されます。たとえば5Vボードで analogWrite(pin, 127) なら、2.5V前後が出ます。「PWMなのに5Vが出ていない」と慌てなくて大丈夫です。仕組みはanalogReadとanalogWriteの解説で詳しく説明しています。

応用

analogReadの値をテスターで答え合わせする:可変抵抗やセンサーの出力ピンの電圧をテスターで測り、同時にシリアルモニタで analogRead() の値を見ます。5VボードのUnoなら、読み取った値 × 実際の5Vピンの電圧 ÷ 1023 がテスターの値とほぼ一致するはずです。大きくずれる場合は、配線かプログラムのどちらかに問題があります。シリアルモニタの使い方はシリアルモニタでのデバッグ方法を、可変抵抗の配線は可変抵抗とanalogReadを参照してください。



Chapter 05 / Continuity

05導通を測る:「線がつながっているか」

導通チェックは、2点の間が電気的につながっているかを、ブザーの音で教えてくれる機能です。画面を見なくても音でわかるので、配線を目で追いながら次々に確かめられます。電子工作の配線ミス探しで、いちばん出番の多い機能です。

テスターの導通ブザーでジャンパー線の断線・ブレッドボードの電源レール・ショートを確認する方法の図解

必ず電源を切ってから

導通チェックは、テスター自身が小さな電流を流して測ります。電源が入った回路に当てると、正しく測れないだけでなく、テスターや部品を傷める原因になります。USBケーブルと電池を外してから測ってください。

手順

  1. 回路の電源を外すUSBケーブル、電池ボックス、ACアダプターをすべて外します。
  2. ダイヤルを導通(•))))に合わせる抵抗(Ω)と同じ位置にあり、「SELECT」ボタンなどで切り替える機種も多くあります。
  3. 赤と黒を、つながっているはずの2点に当てる導通には向きがないので、どちらに赤を当ててもかまいません。
  4. 音で判断する鳴ればつながっている、鳴らなければ切れています。ブザーが鳴る基準は機種によって違い、多くは数十Ω以下です。

電子工作での使いどころ

確かめるもの 当てる場所 わかること
ブレッドボードの電源レール 同じレールの左端と右端 レールが真ん中で切れているタイプかどうか
ブレッドボードの穴 部品を差した列の穴どうし 差したつもりの部品が、違う列に入っていないか
ジャンパー線 線の両端のピン(線を軽く曲げながら) 中で切れかけていないか
はんだ付け ピンと、その先につながる配線 はんだがのっていない「イモはんだ」の見落とし
ショート(短絡) 5V(VCC)とGNDの間 鳴ったら電源とGNDがどこかで直接つながっている
スイッチ スイッチの2本の足(押したとき・離したとき) 押したときだけ鳴ればスイッチは正常

ブレッドボードで特に多い3つの落とし穴

  • 電源レールが中央で分かれている:長いブレッドボードには、赤と青の線が真ん中で途切れていて、レールも左右で分かれているものがあります。片側だけ動かないときは、まずここを導通で確かめます。
  • 中央の溝をまたいでいない:ICやボタンを中央の溝にまたがせずに差すと、足どうしがつながってしまいます。
  • 穴の金具がゆるんでいる:太い足の部品を何度も差した穴は、ばねがゆるんで接触が悪くなります。部品を少し揺らしながら導通を見ると見つかります。

ブレッドボードの不具合のパターンは、ブレッドボードのトラブル対処法でさらに詳しくまとめています。

5VとGNDのショートチェックは、電源を入れる前の習慣に:新しく組んだ回路は、電源をつなぐ前に5VとGNDの間で導通を見てください。鳴ったら、どこかで電源とGNDが直接つながっています。ただし、大きなコンデンサが入っている回路では、当てた瞬間だけ短く鳴ることがあります。鳴り続けるかどうかで判断します。
Chapter 06 / Resistance

06抵抗を測る:「部品の値は正しいか」

抵抗の測定は、テスターが自分で電流を流して値を計算します。そのため導通と同じく、必ず電源を切ってから測ります。

抵抗器のカラーコードを確かめる

抵抗器の色の帯は、慣れないと読み間違えやすいものです。LEDに付ける220Ωのつもりが22kΩだった、という間違いはよくあります。Ωモードで両端に当てれば一発でわかります。抵抗器には誤差(多くは±5%)があるので、220Ωなら209〜231Ωの範囲なら正常です。LEDと抵抗の組み合わせは、LEDを光らせる基本回路と抵抗値の計算で解説しています。

センサーや可変抵抗の動きを確かめる

  • 可変抵抗:両端の足では全体の値(10kΩなど)が出ます。真ん中の足と端の足で測りながらつまみを回し、値がなめらかに変われば正常です。
  • CdS(光センサー):手でおおうと値が大きく、明るくすると小さくなれば正常です。配線はCdS光センサーの使い方を参照してください。
  • ロードセル:赤と黒、白と緑のような組み合わせで、それぞれ数百Ω〜1kΩ前後の値が出るかを見ると、線の色の組み合わせを確かめられます。値は製品によって違います。詳しくはHX711とロードセルの使い方で。

回路に付いたままだと、正しく測れない

ブレッドボードに差したまま抵抗を測ると、ほかの部品を通る道も一緒に測ってしまい、本来より小さい値が出ることがあります。正確に知りたいときは、部品の片方の足だけでも回路から外して測ります。また、測るときに両手の指で抵抗の両端をつまむと、自分の体の抵抗も一緒に測ってしまいます。大きな値の抵抗では特に影響が出るので、片手で持つか、机に置いて測ります。

Chapter 07 / Diode

07ダイオード・LEDを確かめる

ダイオードモード(▶|)では、部品に電流を流したときの電圧(順方向電圧)が表示されます。LEDのように「向きのある部品」が、生きているか、どちらが+かを確かめられます。

テスターの抵抗測定モードで220Ωの抵抗器を確認し、ダイオードモードでLEDの極性を調べる図解

  1. LEDを回路から外す回路に付いたままだと、ほかの部品の影響を受けます。
  2. 赤を長い足(アノード、+)、黒を短い足(カソード、-)に当てるテスターの種類によっては、このときLEDがうっすら光ります。
  3. 表示を読む数値が出れば正常。逆向きに当てると「OL」や「1」になります。両方向とも「OL」なら壊れているか、テスターの測定電圧では足りない可能性があります。
部品 表示の目安
一般的なシリコンダイオード(1N4148、1N4007など) 0.5〜0.7V前後
赤・黄色のLED 1.8〜2.2V前後
青・白・緑(高輝度)のLED 2.7〜3.3V前後。テスターによっては測れず「OL」になる

青や白のLEDは必要な電圧が高く、ダイオードモードの電圧が低いテスターでは反応しないことがあります。その場合は、抵抗を入れてArduinoの5Vで光らせて確かめます。

リレーやモーターの回路に、逆起電力から守るためのダイオードを自分で付けるときにも、向きの確認に使えます。モーターの配線そのものはL298NでDCモーターを動かす方法を参照してください。



Chapter 08 / Current

08電流を測る:いちばん壊しやすい測定

電流は「回路を流れる電気の量」なので、測るには回路の途中を切って、テスターを間に挟む必要があります(直列接続)。このとき、テスターの中は電気がほとんど抵抗なく通る状態になっています。もし電流モードのまま電源の+と-に直接当てると、ショートさせたのと同じになり、ヒューズが飛ぶか、ヒューズのない機種ならテスターが壊れます。

テスターを回路に直列接続して電流を測る方法と電圧・抵抗から電流を計算するオームの法則の図解

手順

  1. 電源を切る回路を切り開く作業は、必ず電源を外してから行います。
  2. 赤リードを mA ジャックに差し替える電子工作の小さな回路ならmAで足ります。値がまったくわからないときは、10Aジャックとレンジから始めます。
  3. ダイヤルを A⎓(mA⎓)に合わせる交流(A~)と間違えないようにします。
  4. 電源の+から回路に向かう線を1本外し、その間にテスターを入れる電源の+に赤、回路側に黒。電気がテスターを通り抜けるようにつなぎます。
  5. 電源を入れて読む測り終えたら電源を切り、赤リードをVΩに戻すまでが測定です。

電流計を入れると、回路の動きが変わることがある

テスターの電流レンジには、内部に小さな抵抗(シャント抵抗)が入っています。電流が流れるとそこで少し電圧が下がるため(バーデン電圧)、特に小さな電圧で動く回路では、テスターをつないだだけでマイコンがリセットすることがあります。動きがおかしくなったら、より大きい電流レンジに切り替えると影響が小さくなります。

プロの裏技:電流は「電圧を測って計算する」

実は、電子工作の現場では、回路を切らずに電流を知る方法がよく使われます。抵抗の両端の電圧を測り、オームの法則(電流=電圧÷抵抗)で計算するやり方です。

例

LEDに直列でつないだ220Ωの抵抗の両端を、電圧モードで測ったら2.9Vだったとします。電流は 2.9V ÷ 220Ω ≒ 0.013A = 約13mA。Arduino Uno R3の1ピンあたりの推奨は20mA以下(絶対最大定格は40mA)なので、余裕があるとわかります。

リードの差し替えも、回路を切る手間もなく、電圧モードのまま測れるので、テスターを壊す心配もありません。

ボード全体の消費電流を知りたいとき(電池で何時間もつか計算したいときなど)は、上の手順で電源の線にテスターを入れて測ります。外部電源の使い方はArduinoの外部電源(VIN・5Vピン)の使い方で解説しています。

Chapter 09 / Case Study

09実践:症状別トラブル診断6ケース

ここからは、よくある6つの症状について、テスターを使った診断の順番を示します。上から順に測り、最初に異常が出たところが原因です。

Arduino・LED・センサー・モーター・タクトスイッチ・Raspberry Piの6つの不具合をテスターで診断する図解

CASE 1Arduinoの電源ランプが点かない・パソコンが認識しない

  1. 電圧:USBをつないだ状態で、ボードの5VとGNDを測る。0Vなら電気がボードに届いていない
  2. 導通:電源を外し、5VとGNDの間を測る。鳴り続けたら、ブレッドボード側のどこかでショートしている。ブレッドボードの配線を全部外して、もう一度測る
  3. ボード単体で5Vが出るのに認識しないなら、電気の問題ではなく、ケーブル(充電専用ケーブル)やドライバの問題

CASE 2LEDが点かない

  1. 電圧:プログラムでピンをHIGHにした状態で、ピンとGNDの間を測る。0Vなら、プログラム(pinMode忘れ、ピン番号違い)の問題
  2. 電圧:抵抗の両端を測る。0Vなら電流が流れていない=どこかで切れているか、LEDが逆向き
  3. ダイオード:LEDを外して向きと良否を確かめる
  4. 抵抗:抵抗器を外して値を確かめる(22kΩなどの付け間違いで、ほとんど光らないことがある)

CASE 3センサーの値が0のまま、または最大値(1023)に張りつく

  1. 電圧:センサーのVCCとGNDの間を、センサーの足で測る。電源電圧が出ていなければ電源の配線ミス
  2. 電圧:センサーの出力ピンとGNDを測りながら、センサーに変化を与える(光を当てる、つまみを回す)。値が変わらなければセンサー側の問題
  3. 導通:電源を外し、センサーの出力ピンとArduinoの入力ピンの間を測る。鳴らなければ配線が違う列に差さっている

CASE 4サーボやモーターを動かすと、Arduinoがリセットする・動きがおかしい

  1. 電圧:ワニ口で5VとGNDに固定し、モーターを動かしながら表示を見る。動かした瞬間に大きく下がれば、電源の容量不足
  2. モーター用に別の電源を用意し、GNDだけはArduinoと共通にする。そのうえで、もう一度動作中の電圧を測る
  3. 導通:別電源にしたときは、ArduinoのGNDと外部電源のGNDの間で鳴るかを確かめる。共通になっていないと、信号が正しく伝わらない

CASE 5ボタンを押しても反応しない・勝手に反応する

  1. 導通:電源を外し、スイッチの2本の足に当てて、押したときだけ鳴るかを確かめる。4本足のタクトスイッチは、向きによって最初からつながっている足の組がある
  2. 電圧:電源を入れ、入力ピンとGNDの電圧を、押したとき・離したときで比べる。離したときに値がふらつく(0Vと5Vの間で定まらない)なら、プルアップ・プルダウン抵抗がない

CASE 6Raspberry Piが不安定・低電圧の警告が出る

  1. 電圧:Raspberry PiのGPIOヘッダーの5VピンとGNDを、負荷をかけた状態(起動中・USB機器をつないだ状態)で測る。動作中に4.8Vを下回るほど下がるなら、電源アダプターやケーブルの能力不足を疑う。Raspberry Pi 3・4では約4.63Vを下回ると低電圧の警告(雷マーク)が出る
  2. 電圧:GPIOにつないだセンサーやモジュールの出力が、3.3Vを超えていないかを確かめる。Raspberry PiのGPIOは3.3V用で、5Vをかけると壊れることがある

エラーメッセージから原因を探したいときは、Arduinoのエラー対処法大全もあわせてどうぞ。プログラム側のエラーとハードウェア側の不具合を切り分けて考えると、解決が早くなります。



Chapter 10 / Safety

10テスターを壊す・ケガをする失敗と安全

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赤リードを「A」に差したまま電圧を測る

いちばん多い失敗です。電源をショートさせることになり、内部のヒューズが切れます。電流を測ったあとは、必ずVΩに差し戻します。

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電源が入ったまま抵抗・導通を測る

正しい値が出ないうえ、テスターや部品を傷める原因になります。抵抗・導通・ダイオードは、電源を外してから測ります。

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測定中にダイヤルを回す

リードを当てたままダイヤルを回すと、途中で別のモードを通過し、思わぬ電流が流れることがあります。ダイヤルは、リードを離してから回します。

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リードの先で隣のピンどうしを触れさせる

Arduinoのピンは間隔が狭く、テスト棒が滑って5VとGNDを同時に触れると、その瞬間にショートします。先の細いテスト棒を使うか、ジャンパー線をピンに差してから、その先を測ります。

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リチウムイオン電池の端子をショートさせる

電流モードで電池の両端に当てるのは厳禁です。大きな電流が流れ、発熱や発火の危険があります。

コンセント(AC100V)は別の世界

この記事で扱っている電池やUSBの電気と、家庭のコンセントの電気は、危険の大きさがまったく違います。コンセントの測定には、それに耐えられる安全規格(測定カテゴリー:CAT II以上など)を満たしたテスターと、正しい知識が必要です。測定カテゴリーは国際規格IEC 61010で決められている安全区分で、テスター本体のジャックの近くに「CAT II 600V」のように表示されています。電子工作の延長で、コンセントや分電盤を測るのはやめてください。家の配線に関わる作業は、電気工事士の資格が必要な場合もあります。

Chapter 11 / How to Choose

11電子工作向けテスターの選び方

これから買うなら、次の機能がそろったデジタルテスターを選べば、電子工作で困ることはまずありません。

機能・仕様 おすすめ 理由
オートレンジ あると便利 レンジ選びで迷わず、測り間違いが減る
導通ブザー 必須 配線チェックで一番使う。反応の速い機種が使いやすい
ダイオードテスト 必須 LEDやダイオードの確認に使う
電流レンジのヒューズ保護 必須 測り間違えたときに本体を守る
測定カテゴリー表示(CAT) 表示があるもの 安全規格に沿って設計されている目安になる
静電容量(F) あれば便利 コンデンサの値を確かめられる
周波数(Hz)・デューティ比 あれば便利 PWMの周波数を確かめられる
アナログ(針式)テスター 初心者には不向き 値の読み取りに慣れが必要。デジタルから始めるのがおすすめ

あると作業が速くなる小物

  • ワニ口クリップ付きのリード:GNDに固定しておけば片手で測れる。動作中の電圧を見るときに必須
  • 先の細いテスト棒:ピン間隔の狭いArduinoやICでも、隣のピンに触れにくい
  • ジャンパー線(オス):ブレッドボードの穴に差し、その先にテスト棒を当てると測りやすい

国内では三和電気計器、日置電機(HIOKI)、共立電気計器、海外ではFlukeなどが、計測器の専門メーカーとして知られています。数千円台でも、電子工作には十分な性能のものが選べます(編集部見解)。

Chapter 12 / Checklist

12測定前チェックリスト

毎回このリストを上から確かめる習慣をつけると、測り間違いとテスターの故障がほぼなくなります。

  • 黒リードはCOM、赤リードはVΩに差さっているか(電流を測るときだけmA/A)
  • ダイヤルは測るものに合っているか(直流電圧は V⎓)
  • 抵抗・導通・ダイオードを測るなら、回路の電源は外したか
  • マニュアルレンジなら、測りたい値より大きいレンジを選んだか
  • 黒をGNDに当てて(固定して)から、赤で測る点に当てているか
  • 電源側ではなく、部品の足で測っているか
  • テスト棒の先が、隣のピンに触れていないか
  • 測り終えたら、ダイヤルをOFFに戻し、赤リードをVΩに戻したか

テスターでの確認は、電子工作の上達そのものでもあります。段階的な学び方はArduinoロードマップや電子工作入門ガイドも参考にしてください。

Chapter 13 / FAQ

13よくある質問

Q.電子工作で、テスターはどの機能を最初に覚えればいいですか?
A.直流電圧(V⎓)、導通(ブザー)、抵抗(Ω)の3つです。電圧で「電気が来ているか」、導通で「線がつながっているか」、抵抗で「部品の値が正しいか」がわかり、電子工作のトラブルの多くはこの3つで見つけられます。電流の測定は、回路を切って割り込ませる必要があり壊しやすいので、慣れてからで十分です。

Q.電圧と電流で、テスターのつなぎ方が違うのはなぜですか?
A.電圧は2点の間の差なので、測りたい2点に並べて当てます(並列)。電流は回路を流れる量なので、回路の途中を切ってテスターの中を通す必要があります(直列)。電流モードのテスターは内部の抵抗がとても小さいため、電圧と同じように並べて当てるとショートになり、ヒューズが切れたり本体が壊れたりします。

Q.テスターで何も表示されない、または値がおかしいときは?
A.まず赤リードがVΩのジャックに差さっているか、ダイヤルが正しいかを確かめます。次に、赤と黒のリードの先を当てて導通ブザーが鳴るか、抵抗が0Ω近くになるかを確認します。鳴らなければリードの断線か内部ヒューズ切れ、表示が薄い・ふらつくならテスター自体の電池切れが考えられます。

Q.導通チェックでブザーが鳴りっぱなしになります。
A.測っている2点が本当につながっているか、あるいは電源とGNDのように、つながっていてはいけない場所がショートしています。5VとGNDの間で鳴り続ける場合は、ブレッドボードの配線を少しずつ外しながら、鳴り止む箇所を探します。大きなコンデンサが入っている回路では、当てた瞬間だけ短く鳴ることがあり、これは故障ではありません。

Q.ブレッドボードの片側だけ回路が動きません。
A.長いブレッドボードには、電源レールが中央で左右に分かれているものがあります。電源を外し、導通モードで同じレールの左端と右端に当ててみてください。鳴らなければレールが分かれているので、ジャンパー線で左右をつなぎます。

Q.Arduinoの5Vピンが5.00Vちょうどにならないのは故障ですか?
A.故障ではありません。USB 2.0の規格では、パソコン側のポートの5Vは4.75〜5.25Vの範囲と決められていて、ボードの中の部品でも少し電圧が下がります。USB給電のArduino Unoなら、おおむね4.7〜5.2Vの範囲であれば正常の目安です。大きく下がる場合は、USBポートやケーブルの供給能力、回路の消費電流を疑います。

Q.PWMのピンを測ると、5Vではなく中途半端な電圧が出ます。
A.正常です。analogWrite()のPWMは0Vと5Vを高速で切り替える信号なので、普通のテスターでは平均に近い値が表示されます。5Vボードでデューティ比50%(analogWrite(pin, 127))なら2.5V前後です。

Q.回路を切らずに電流を知る方法はありますか?
A.あります。回路に入っている抵抗の両端の電圧を測り、電流=電圧÷抵抗の値で計算します。たとえば220Ωの抵抗の両端が2.9Vなら、約13mAです。電圧モードのまま測れるので、リードの差し替えも不要で、テスターを壊す心配もありません。

Q.電子工作用のテスターは、いくらくらいのものを買えばいいですか?
A.オートレンジ、導通ブザー、ダイオードテスト、ヒューズで保護された電流レンジがそろったデジタルテスターなら、数千円台でも電子工作には十分です。家庭のコンセントも測る可能性があるなら、CAT II以上など測定カテゴリーの表示がある、信頼できるメーカーの製品を選んでください。

Q.家のコンセントの電圧を測ってもいいですか?
A.この記事で扱う電子工作の範囲を超えるため、おすすめしません。コンセントの電気は危険が大きく、測定カテゴリーに対応したテスターと正しい手順が必要です。家の配線に関わる作業は資格が必要な場合もあるため、心配なときは電気工事の専門業者に相談してください。

まとめ

テスターの使い方は、まず電圧(電源ON・並列)、導通と抵抗(電源OFF)の3つを覚えれば十分です。動かないときは「電気が来ているか」を部品の足で測り、来ているのに動かなければ電源を外して「線がつながっているか」を確かめる。この順番を守るだけで、配線ミスや電源トラブルの多くは数分で見つかります。電流の測定は便利ですが、リードの差し替えを忘れると壊れやすいので、慣れるまでは「抵抗の電圧を測って計算する」方法を使いましょう。

参考資料

外部・一次情報

  1. SparkFun「How to Use a Multimeter」(電圧・電流・抵抗・導通の測り方とヒューズの解説), https://learn.sparkfun.com/tutorials/how-to-use-a-multimeter
  2. Adafruit Learning System「Multimeters」(電子工作向けのテスターの使い方), https://learn.adafruit.com/multimeters
  3. LibreTexts「How to Use an Ammeter to Measure Current」(電流計を直列に入れる理由), LibreTexts(Kuphaldt, Electric Circuits Experiments)
  4. Wikipedia「Measurement category」(IEC 61010の測定カテゴリーCAT I〜IV), https://en.wikipedia.org/wiki/Measurement_category
  5. Arduino「UNO R3」公式ハードウェアページ(電源と仕様), https://docs.arduino.cc/hardware/uno-rev3/
  6. Arduino「A000066 Full Pinout」(UNO R3のピン配置図PDF), https://docs-content.arduino.cc/resources/pinouts/A000066-full-pinout.pdf
  7. Raspberry Pi Documentation(GPIOと電源), https://www.raspberrypi.com/documentation/computers/raspberry-pi.html
  8. 計測器メーカー:三和電気計器/日置電機(HIOKI)/共立電気計器/Fluke(各機種の仕様と取扱説明書)

※文中の電圧などの数値は一般的な目安です。テスターの機能・ジャックの配置・導通ブザーの基準は機種によって異なるため、お使いのテスターの取扱説明書もあわせて確認してください。家庭用コンセントなど商用電源の測定は本記事の対象外です。


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